ニコンZシリーズのカメラを手に入れたものの、手持ちのFマウントレンズを活かすための純正マウントアダプターが高価で手が出しにくいと感じていませんか。FTZ互換品やオートフォーカス対応のサードパーティ製アダプターの評判が気になり、K&FやVILTROXといったメーカー製品の性能や違いを比較検討している方も多いはずです。安い互換品でも本当に実用的なのか、おすすめの選択肢はどれなのか、バイヤーとしての経験も踏まえて本音で解説します。
記事のポイント
- 純正品とサードパーティ製アダプターの決定的な機能差
- オートフォーカスや手ブレ補正が動作する互換品の有無
- K&F ConceptやVILTROXなど主要ブランドの実際の評判
- 予算や撮影スタイルに合わせた失敗しない選び方
知っておくべきFTZ互換品の基礎知識

ここでは、ニコンZマウントカメラでFマウントレンズを使用する際に知っておくべき、アダプターの基本的な仕組みと市場の現状について解説します。単に「繋げば写る」という単純な話ではなく、電子接点の有無や制御方式によってできることが大きく変わるのがこの世界の面白いところであり、難しいところでもあります。
純正品とサードパーティの違い
まず大前提として理解しておきたいのは、純正FTZとサードパーティ製互換品の間にある「見えない壁」の存在です。ニコン純正のFTZおよびFTZ IIは、単なる接続リングではありません。レンズ内のCPUとカメラボディを仲介し、オートフォーカス(AF)、自動露出(AE)、そして手ブレ補正(VR)の情報を完全にやり取りするための高度な電子デバイスです。
一方で、市場に出回る多くの「FTZ互換品」と呼ばれる製品、特に数千円で購入できるものは、基本的に「筒(つつ)」としての機能しか持っていません。これは物理的にフランジバック(マウント面からセンサーまでの距離)を合わせるだけの道具であり、電子接点を持たないため、カメラ側は「レンズが付いていない」と認識することもあります。
純正品は「完全な機能連動」を保証しますが、多くの激安互換品は「マニュアル操作」が前提となります。この割り切りができるかどうかが、最初の分かれ道です。
オートフォーカス対応製品の特徴
「互換品でもオートフォーカスを使いたい」というのは全ユーザーの願いですが、これを実現しているサードパーティ製品は極めて稀です。なぜなら、ニコンのAFアルゴリズムを解析し、それを独自のアダプター内で翻訳してレンズを動かす技術が必要だからです。
オートフォーカス対応の互換品には、必ず電子接点(金色のピン)が存在します。これにより、EXIFデータ(撮影情報)の記録や、カメラボディ側からの絞り制御が可能になります。逆に言えば、接点のないアダプターを買ってから「AFが動かない」と嘆くのは、製品の仕様を理解していないことになります。
現在、実用レベルでAF駆動を実現しているのは一部のブランドに限られており、その制御精度も純正品と比較すると「完璧」とは言い難い場面があることは正直に伝えておかなければなりません。
K&Fなど人気メーカーの評判
Amazonなどで「FTZ アダプター」と検索すると真っ先に出てくるのがK&F Conceptです。このブランドは、低価格ながらもビルドクオリティ(作りの良さ)が高いことで知られ、多くのカメラファンから支持されています。
K&F製品の最大の特徴は、「マニュアルフォーカス専用」として品質を極めている点です。電子接点こそありませんが、マウント部分に真鍮パーツを使用したり、内面反射を防ぐ艶消し塗装を施したりと、光学的な悪影響を最小限に抑える工夫が随所に見られます。
ユーザーの評判を見ても、「AFは諦めて、オールドレンズをじっくり楽しむならこれで十分」「純正の10分の1の価格でこの質感なら文句なし」といった声が多く、コストパフォーマンス重視の層には圧倒的な人気を誇っています。
VILTROX製アダプターの性能
互換品市場において「革命児」とも呼べるのがVILTROX(ビルトロックス)です。このメーカーのすごいところは、純正品の半額以下の価格でオートフォーカス対応を実現してしまった点にあります。
VILTROX製の「NF-Z」アダプターは、電子接点を備え、AF駆動だけでなく、瞳AFや顔認識、さらにはレンズ側の手ブレ補正(VR)にも対応しています。「本当に動くのか?」と疑う方もいるでしょうが、私の経験や多くのレビューを参照しても、純正レンズ(特にAF-Sレンズ)との組み合わせで実用的な速度でAFが合焦します。
VILTROXのアダプターにはUSBポートが付いており、PCと接続してファームウェアをアップデートできます。新しいカメラやレンズが出ても対応できる可能性があるのは大きな強みです。
不具合や動作制限に関する注意点
「安いには理由がある」というのは、私のバイヤーとしての口癖ですが、FTZ互換品にも当然リスクはあります。最も注意すべきは互換性の範囲です。
例えば、電子接点のない安価なアダプターで「Gタイプレンズ(絞り環のないレンズ)」を使おうとすると、絞りを操作する手段がなくなり、常に最小絞り(一番暗い状態)や開放での撮影を強いられることになります。これを防ぐために「絞り操作リング付き」のアダプターも存在しますが、操作感は純正のそれとは全く異なります。
また、VILTROXのような電子アダプターであっても、特定の古いレンズではAFが迷ったり、動作しなかったりするケースも報告されています。「純正なら100%動くが、互換品は90%動けば御の字」という広い心で接するのが、この手のアイテムとうまく付き合うコツです。
目的別におすすめするFTZ互換品

では、具体的にどのアダプターを選べばよいのでしょうか。私がこれまでの経験で導き出した結論は、「自分の撮影スタイルに合わせる」こと以外に正解はありません。ここでは目的別に最適な選択肢を提案します。
コスパで選ぶならK&Fが最適
もしあなたが、「実家に眠っていた古いマニュアルレンズを使いたい」あるいは「とりあえず安くFマウントレンズを試してみたい」と考えているなら、K&F Concept KF-NFZ がベストバイです。
実売価格3,000円〜5,000円程度で購入できる手軽さは驚異的です。電子接点がないためAFは使えませんが、Zシリーズのカメラには優秀な「ピーキング機能(ピントが合っている部分を色付きで表示する機能)」があるため、マニュアルフォーカスでも驚くほど快適に撮影できます。
Kenji作りも決して安っぽくなく、カメラに取り付けた際のカチッという感触は価格以上の満足感を与えてくれます。
AF撮影ならVILTROXがおすすめ
「手持ちのAF-S NIKKORレンズ資産を、Zボディでもオートフォーカスでバリバリ使いたい。でも純正FTZ IIの3万円は高い…」という方には、VILTROX NF-Z 一択です。
1万円台半ばという価格設定ながら、AF、EXIF記録、VR対応と、純正品に迫る機能を持っています。特にポートレート撮影などで瞳AFが効くのは大きなメリットです。純正品との価格差で、もう一本中古レンズが買えてしまうことを考えると、非常に賢い選択肢と言えるでしょう。
全てのレンズでの完全動作を保証するものではありません。特にサードパーティ製レンズ(タムロンやシグマのFマウントレンズ)との組み合わせでは、相性問題が出る可能性があります。
焦点工房SHOTENの品質と評価
安すぎる中華製アダプターには抵抗があるが、純正ほどのお金はかけたくない。そんな「質」を重視する方に選ばれているのが、焦点工房が展開するSHOTEN(ショウテン)ブランドのNF-NZです。
価格は6,000円〜1万円程度とK&Fより高価ですが、その分、加工精度や剛性が一段上です。特にマウント面には高耐久の真鍮パーツやアルミ素材が惜しみなく使われており、重いレンズを装着した際の安心感が違います。「道具としての信頼性」を求めるなら、このクラスを選んでおくと後悔がありません。
中古オールドレンズとの相性
実は、FTZ互換品を最も楽しんでいるのは、最新レンズを使う人ではなく、「オールドレンズ」の愛好家たちかもしれません。ニコンのFマウントは歴史が長く、膨大な数の中古レンズが存在します。
AI NIKKORなどの古いマニュアルレンズは、そもそもAF機能がないため、電子接点のない安いアダプターで全く問題ありません。むしろ、自分でフォーカスリングを回し、絞りを決めてシャッターを切るという行為は、「写真を撮っている」という実感を強く味あわせてくれます。
最新のZ9やZ6IIに、あえて数千円のアダプターと数千円のオールドレンズを付けて街を歩く。そんな粋な遊び方ができるのも、互換品ならではの魅力です。
失敗しないFTZ互換品の選び方まとめ
最後に、FTZ互換品選びで失敗しないための基準を整理します。私がバイヤーとしてアドバイスするなら、以下のフローチャートで決まりです。
- 予算を極限まで抑えたい・MFレンズが主体 → K&F Concept
- AFを使いたい・コスパ重視 → VILTROX
- 質感と精度のバランス重視・MF主体 → SHOTEN
- 絶対に失敗したくない・全ての機能を使いたい → 迷わず純正FTZ II
「安物買いの銭失い」にならないよう、自分のレンズ資産と撮影スタイルを一度確認してからポチることを強くおすすめします。純正品は確かに高いですが、その価格には「安心」が含まれています。一方で、用途を絞れば互換品は最高のパートナーになります。

